クイちゃんとの出逢い
SCENE2
「うにゃぁぁ。嬉しいよ〜。クイちゃんに触ったよ〜。頬ずりしたよ〜。舐められたよ〜(笑)」
これが二度目にクイちゃんに会えたときの「歓びの声」です。
1999年7月17日。新千歳空港に一人降り立ちました。現地で友人との待ち合わせだったのですが、あまりの暑さに
『ここはホントに北海道?』
と辟易しました。

友人との待ち合わせまでには時間があったので、新千歳空港からでているシャトルバスに乗ってノーザンホースパークへ。

まだ午前中なのに、他にも結構シャトルバスを利用する人が居て『なんか、凄いな』と感動。
しかも一人で乗っている人がほとんどなのでみんなは一体どんな目的で行くのだろう、と首を傾げていたけれどもよくよく考えれば私も今は「一人」(笑)
……うーん、こういうことは深くは考えないでおこう(笑)

この日はクイちゃん、厩舎には居たのですが、厩舎から顔を出していなかったため、顔を見ることが出来ませんでした。
2時間ほどパーク内をうろつきつつ、何度か訪問してねばったのですが会えませんでした。うるうる…。

時間つぶしにパーク内で行われていた馬術大会のようなものを見学していたのですが、競技中、馬がバーに蹴躓いて騎乗していた人が振り落とされるとみんな慌てて馬の方に駆け寄っていって、落ちた人には見向きもしなかったこと。
落ちた人は
「ばかやろうっ!」
って大きな声で怒られていました。

うあおーー。
そうですよね…落ちた人間より馬だよねぇ。
脚とか怪我してたら大変だもんね。
頭では分かっていたけれどもちょっとびっくりする光景でした。
閑話休題。

結局、この日の訪問ではクイちゃんには会えず、厩舎の近くで女性の厩務員さんに話しかけて「名前はまだ決まっていないんですか?」「いつ頃決まるんですか?」って情報を引き出そうとするも、素っ気なくあしらわれてしまい落胆してパークを去りました。えーん(T_T)

7月20日、海の日。とっても良い天気♪

この日は合流した友人と一緒に訪問。
事情を良く知らない友人はあまりにもある厩舎の周りに私がこだわるので不思議そうにしていました(笑)

ところがクイちゃんが厩舎に居ないので
「今どこにいるんですか?」
って近くで仕事をしていた人に尋ねたら、
「今は洗い場に居ます」
って教えてくれました。

あっ、洗い場と言えばさっき通って来たところだ!!あの中に居たんだ、ってダッシュで戻ったのですが、四頭いるにはいるんですけど栗毛が三頭もいて、どれがクイちゃんだか分からなかったのです(笑)
うわーー、不覚だっ。あれだけクイちゃんクイちゃん、と大騒ぎしている割にはどの馬か分からないなんて(^-^;

そこで、とにかく四頭揃って入るように写真に収めたり、そのうち「一番奥のような気がする…」と一番奥の馬だけに狙いを定めて撮ったりしていたのですが、そのうち闇雲に撮っても仕方がないと思い『どの仔かなぁ…』と悩んでいたら、足元のふわふわの土に色々な色が入っていてそれが気になったので友人に「これ、なんで色んな色が入っているのかな? ほら、赤とか緑とか…毛糸みたいなのがいっぱいある」って足で踏み踏みしながら話しかけたら近くで洗濯物を干していた外国人のスタッフらしき人が
「それはユーロチップ。アッチ(たぶんヨーロッパ)で使われているのと同じもの。柔らかいでしょ。馬の脚に優しい」
って教えてくれたのです。

『あっ、この人日本語ぺらぺらだっ!』
っと分かったので
「あの、フジキセキとゴールデンピアスの仔はどれですか?」
と尋ねたら
「フジキセキとゴールデンピアスの仔がいるってどうして知ってるの?」
と逆に聞かれました。
「あちらの厩舎で教えて貰ったのです」
といったら
「ココにはいないよ」
との返事。
「でも洗い場にいるって…」
と戸惑いつつ聞き返したら、その人は改めて洗い場を覗き込んで
「あ、三番目の馬」
と教えてくれました。手前から栗・黒・栗・栗って並んでいたので手前から三番目だろうな、と思ったのですが、念のため
「こっちから三番目ですよね?」
と尋ねたらそうだ、って答えて貰えました。

で、それが分かったので三番目のクイちゃんに狙いを定めて写真を撮ろうとしたのですが、首しか撮れない。
たとえ望遠付きとはいえ、所詮写るんです…限界が…。

そこで私は考えました。
水浴びが終わったらクイちゃんは厩舎に帰るはず。
……ということは?
帰り道で待ち伏せしていたらクイちゃんの全身が撮れるっ!!
ふふふふ、完璧な計画だっ!(怪しい)

使い捨ての望遠レンズカメラを持ってその辺をうろつく私はそうとう怪しかったと思います。
でも粘りました。
折角北海道まで来たんだから!

待って待つこと20分くらい(笑)
もっと長かったかもしれません。
どれがクイちゃんか教えてくれたスタッフの人には
「関係者?」
と聞かれる始末。
「いえ、違います」
って答えたあと『関係者って答えれば便宜はかってくれたかしらん』などと思いもしましたが。ひたすら待ちました。

そしてとうとう、一頭が厩舎に帰り始めてついに最後まで残っていたクイちゃんも洗い場からでてきて厩舎に向かい始めたのです。
うわーお、ラブリー!!

「やったー」
と歩いてくるところを正面から待ち伏せてパシパシ撮っていたら馬の口を引いていたスタッフのおにーさんが
「一緒に撮りますか?」
と声を掛けて下さったのです。
「ええっ? 良いんですか? 是非是非」
と舞い上がりそうな気分でカメラのフィルムを巻いていたらなんと私が持っていたカメラのフィルムが切れてしまったのです。

「うわー、フィルムが無くなった!!(;>_<)ノ」
と動揺する私に友人が
「あっ、こっちで撮ってあげるよ」
とカメラを構えてくれたのでうきうきしてクイちゃんの隣に並んでカメラを見ていたらスタッフの方が
「何か思い出がある馬なんですか?」
って尋ねて下さいました。

「はいっ、フジキセキの子供ですよね?」
と質問の答えにならないことを言ってしまったのですが
「そうです、フジキセキに全然似てませんけどね(笑)」
と笑って返事をくれました。
そのとき、クイちゃんに背を向けていた私の肩越しにクイちゃんが顔を…いや、首を伸ばし、私の右胸のところにぐりぐりっと鼻を押しつけてきたのです。「おっと」
とスタッフの方に引き戻されるクイちゃんの方を振り返るとちょうど顔をあげたクイちゃんとご対面。
「うふふふふ♪」
と思わず自然に手がでて鼻面を撫でてあげたら、クイちゃんが顔を寄せてきて、ほっぺたや口の周りを舐められてしまいました。
私も遠慮無しに鼻をこづきあわせて「うにゃぁぁ(*^-^*)」とすりすり。
さらに遠慮のなくなった私はぐりぐりーっとクイちゃんに頬ずりしてしまいました。

「どうもありがとうございました〜」
とスタッフの方とクイちゃんを見送った後に友人に向かって
「うふふ、クイちゃんに頬ずりされてしまった(*^-^*)」
と自慢?したら
「いや、アレは明らかに君のほうから頬ずりしていったね(笑)」
と笑われました。
えへへへへ。
仰るとおりです(爆)

実は私、象とラクダには乗ったことがあるんですが、馬には乗ったこともなければ触ったことも無かったんです。
立入禁止以外の厩舎の馬は触れる距離にいたにはいたけどなんとなく
「咬まれたら怖いな」
という気持ちが先に立って可愛いとは思いつつも手が出せずにいました。

でもクイちゃんには平気で顔をくっつけて舐められて、自ら頬ずりしてしまったわけで…。

あぁ、なんて幸せなのでしょう〜(笑)

洗い場近くをうろついていた怪しい私に親切に声をかけてくれた、スタッフのおにーしゃん、ほんとにありがとうございます。

クイちゃん、早く名前が決まってデビューできるといいね!
*1999年10月25日、名前がデイジーネックレスに決まったあることが判明しました

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